ざっくり言わせていただくと
- とあるラジオ番組で肖像権の話題となり、メインキャスターのアナウンサーが、肖像権について話題を展開
- 無名のユーチューバーがたまたま街中で撮影した動画に自分が映りこんでいたのを知り、肖像権の侵害だと怒りをぶちまけた
- 肖像権は、特定の人をターゲットに、または特定の場所で限られた人物を意図して撮影しなければ、侵害であると主張するのが難しいのが判例
- マスメディア関係者が、このような発言を平気でするのを聴いて唖然としただけでなく、肖像権に詳しくない聴視者が誤って理解する可能性が大きいことに恐怖を覚えた
- これからはマスメディアから流れる「これ正しい」「これ間違ってる」の情報は、ちゃんと書籍等を読んで、その情報が正しいかどうかを判断しない、いわゆる情報リテラシー能力を高めないといけないと改めて思った
最近、朝起きる時はラジオをつけているんです。
テレビはうるさいし、なにより脳が目覚めていない段階でピカピカ光る画面が眼に入るだけで疲れるようになりました。あははは、歳です_| ̄|○
昨日、いつも聴いているラジオから、怒りの声が聞こえてきました。
どうやら、無名のユーチューバーが街中を歩きながらiPhoneで撮影していて、それにアナウンサーが映りこんだのではないかと思っていたら、案の定、数秒映っていたらしいのです。
それが気にくわなかったらしく、なんか激怒しているんですよ、肖像権を侵害されたって。
私の許可もなく、勝手に私を映して失礼だと。私の肖像権は法律で守られているんだと。
あらあら、朝からヒステリックだなーと思っていたんですが、あれ?前に勉強した時に、肖像権っているものは法律で直接書かれた権利ではなかったはずと思ったんです。
そして、まずはネットで弁護士事務所のサイトで調べたら、やはり基本的人権に含まれると解釈されている権利でした。
写真を趣味にする私、何年か前にもブログで肖像権について書いたことがあります。
もう一度、お勉強するために、弁護士事務所のホームページ掲載内容を振り返りました。
<肖像権侵害となるポイント>
特定の人物をメインに撮影されたもので、特定が可能かどうか
写真、映像を拡散性の高い場所に公表しているかどうか
写真、映像等の公表が被撮影者に精神的な負担を与えるものかどうか
被撮影者から撮影と写真、映像の用途の許可を確認しているかどうか
まず、今回のアナウンサーの件で話を整理しましょう。
アナウンサーはユーチューバーが街中を撮影している時に「映りこんで」しまった。アナウンサーを狙って(特定人物をターゲットにして)撮影したわけではありません。1番目のポイントでは、侵害ケースにはならない可能性が高いですね。
次に、ユーチューバーはネットで画像を公開したわけなので、2番目のポイントは該当します。
では、3つ目の精神的な負担ですが、本人は怒りまくっているわけです。精神的負担は本人にとって大きいでしょう。ただ、裁判でよく言われるのが「許容の範囲」です。本人の感情は千差万別。少しの事で大爆発する人もいれば、えぇ!っていうぐらい我慢強い人もいる。裁判では、一般的な事例を踏まえて「許容の範囲」を判断する訳です。今回は数秒間映ったいうもの。どんな映り方したのか分かりませんが、内容によっては、許容の範囲にはいる可能性が高いのではないでしょうか。
最後に撮影の用途、許諾を受けているか。これは全く無いわけです。ここはユーチューバーに義務は基本的にあるのかもしれません。
さて、これだけでは判断できませんので、いよいよ判例(事例)に沿ってみていきます。
まず、肖像権が侵害されたと判決されたケースは、ほぼ特定の人をターゲットに、特定の場所で撮影したもののようです。
そうですよね、NHKのニュース番組で横断歩道を行き交う人々の映像はよく見ます。
ただ最近、マスコミも訴訟や肖像権の誤った理解が進んだ多くの人々からの苦情を避けるために、顔にモザイクをかけることが多くなりましたね。でも、判例でいうと、セーフのはずなんです。
それに、もし自分の画像が映りこんだ場合、その削除をネット掲載者へ依頼するべきですよね。裁判は、その後の話。ただ、多くのマスメディアは、その手続きが煩雑なのとトラブル回避意識が先行して、モザイク合戦になっているんでしょうね。
さて問題は、このアナウンサーの発言。
マスメディア関係者なので、コンプライアンス研修の中で肖像権に関する研修も受けているはずなんです。
今回のケースは、おそらく侵害されていないと思われるし、侵害された!と強く訴えるのは拙速としか言いようがない。なのに、「映りこんだ」だけでこんな発言するとは。唖然とします。間違った法律解釈を堂々と公共の電波で流してしまっています。法律に明るくない聴視者がこの内容をすべて正しいと思い込んだら何が起こるか。自粛警察のような輩が湧き出る世の中ですよ。街中でカメラ構えただけでボコボコにされるかもしれない風潮を助長しているかも。恐ろしいです。
これは肖像権に限った話ではありません。
たとえば、政治の話も同じです。アベノマスクを大々的にバッシングしていましたね。260億円も必要なのかと。効果はないとか、誰も喜んでいないとか。
マスコミの主張にはまったく根拠が示されていませんでしたので、私は最初から「またマスコミが国民を煽っている」と悲しくなっていました。
まず、マスク1枚150円とします。150円×58百万世帯(H30全国の世帯数)×2枚とします。これだけで約170億円です。これに郵送費、事務人件費などを入れると200億円ぐらいはかかるでしょう。あとの60億円は医療関係機関や介護施設に別途送られたものがありましたので、それに充当されたと考えられます。
あと、効果がないとか言っていたマスコミが多くいました。今、世界中で布マスクを使う動きが出てきました。
そうしたら、マスコミは別の話題で騒ぎだし、最近では多目的トイレのチョメチョメ不倫の某タレントの話題で賑わっています。
マスコミは自分たちが流した放送内容は、そのまま放置です。よほど間違っていない限り、訂正しません。
何もかも大量消費する時代ですからこうなるんです。100均で買ったおもちゃが壊れても、そういうものかと消費者の多くは思うでしょ。情報も同じような感じになってきていると思います。なので、情報の質は・・・そういうことです。
恐ろしい事です。
間違った情報を信じた人々が誤った行動をとって大きな被害が出たら、マスコミは責任をとるのでしょうか?
たぶんしません。情報源に騙されたとか、政府が情報を出さないからだとか、色々言って逃げるに違いないでしょう。
今の時代、私たちは、マスコミから出された情報の「裏」をとる必要があります。
情報が正しいかどうかを判断するための手間を惜しんではいけないという事です。
情報リテラシー能力です。
判断するための情報は、やはり信頼できる方が書かれた書物ということになります。
マルクス・ガブリエルは、自身の著書で、国民が自分で物事の正誤を判断する能力をつけるために大学があるんだと言っています。ドイツ人らしいですね。でも、その通りだと思います。
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優良企業社員や中央官僚になるために大学に行く日本は、本当に危険な状態だと思います。
正しい情報を自分で判断するために教育があり、そこに存在意義があると思います。
アラフィフの私は、また学びなおしを始めないといけないと思っています。
長生きする時代ですから、まだまだ自分のための勉強は出来るでしょう。
皆さんも、一緒にどうですか?