今週のお題「今年買ってよかったもの」〈2014年をふりかえる 2〉
以前職場で一緒に働いていた方が、病気で亡くなった。
まだ65歳になっていない若さでである。
その方の葬儀は浄土真宗で執り行われたが、その時のお経をあげた住職の説法が面白かった。
浄土真宗には、戒名はないと。有るのは法名。戒名は階級によって名前が違うが、法名は、どなた様も同じ扱い、あの世では人はみな同じ。上下関係はないのだと。
私の実家は曹洞宗。祖父が亡くなった時、母親がポツリと「おじいちゃんの戒名は学士という名前が付いたので値が張った」といった言葉が、子供ながらに死後の世界にも現世のルールが適用されるのだと感じさせられた。
人は同じ。十悪五逆の悪人も救われると唱えた浄土宗を源泉にもつ浄土真宗というものに興味が沸いた。
そこで、自ら浄土真宗に帰依し、結婚式は親友である浄土真宗の住職に取り仕切ってもらった友人にこの話をすると、「浄土真宗の創始者の親鸞という人は面白いよ」と言ってきた。
親鸞など、学校の教科書以外に関わりがない人。しかし、一度試しになんぞ本を読んでみようと考えた。
本屋に行くと、いきなり五木寛之氏の「親鸞 完結編」が目に入った。
そういえば、ずいぶん長い間神戸新聞に連載されていたっけ?五木寛之氏は、いつの頃からか宗教臭くなったな。そんなことを思いながら、少しだけページを開く。
直感的に、「あっ、これ面白い」と脳が反応した。
すぐに文庫本コーナーに行き、親鸞・上を購入した。
そこからは、雪崩れるように文庫本化された4冊を読破した。
宗教の創始者を題材に、こんなにドラマチックに小説にできるのは、さすが五木寛之氏。内容は、色んな方が縷々お書きになっているので、私は遠慮しておく。
ただ、皆さんにこれだけは伝えておきたい。
まあ、お読みなさい。宗教の本と思うことなかれ。見方によれば、ハードボイルド小説。
そして、親鸞という人物を通じて、過去・現代・未来の人間が共通して逃れることができない宿命と運命に、親鸞はどう対峙し、何を見出したのか。そこから私たちは、何を学ぶことができるのか。五木寛之氏は、親鸞という主人公を通じて、その答えを示してくれている。
現在、完結編を読書中。親鸞は80歳を超えた。さて、彼は、浄土で終焉を迎えられるのか。楽しみだ。
では、皆さんごきげんよう。南無阿弥陀仏。