写真家のハービー山口さん。私が尊敬する写真家の一人です。
- 作者: ハービー山口
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/05
- メディア: 文庫
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写真家たちの日本紀行
旅は沖縄が舞台でした。
40年前に訪れた沖縄は、当然のごとく、新しい街の風景に変わっていました。
しかし、そこに住む人達の笑顔は変わらなかった、山口氏は、そのことに感嘆します。
大きなショッピングセンターが街を占領せず、国際市場のような商店街が残り、そして日々を楽しく過ごすことを一番大切にする生き方を今も続けている沖縄。
山口氏が、「ショッピングセンターなんてないから、良いものがいっぱい残っているんだろうな」と漏らした言葉に、私はハッとした。
合成の誤謬という言葉があります。
「合成の誤謬」
何かの問題解決にあたり、一人ひとりが正しいとされる行動をとったとしても、全員が同じ行動を実行した事で想定と逆に思わぬ悪い結果を招いてしまう事例などを指す。(ウィキペディア)
経済用語ですが、一般社会の中でも、この言葉にぴったりとはまる事象が沢山あるように思いませんか。
大型ショッピングセンターは、大変便利で楽しい施設です。客が集まり地元経済に効果があるからと、郊外ではドンドン開発がされました。
しかし、大型ショッピングセンターが蔓延った地域は、街のコミュニティーのキーステーションだった商店街が崩壊し、結局、地元の活力を衰えさせる結果となりました。
経済だけではありません。文化だって同じです。
地元の祭りは、人手とお金がかかる。若者はそういう伝統行事を嫌がるし、もうやめよう。それが今の時代は当たり前なんだと、多くの人が考えました。そして村の伝統行事をやめた後、若者は年に1回あった祭りすらなくなった村に戻る頻度は余計に少なくなり、村は余計に閑散してしまった、そんな感じがします。
この話には、鶏と卵の議論はあるかと思いますが、私は、そう感じています。
沖縄は、昔ながらの合理すぎない街のシステムを保ち、産業が育たない、全国でも低い所得水準の中にあります。でも、ハービー山口氏が感動した沖縄の人々の変わらない笑顔は、その環境で育まれているのです。
今、日本人は、合理化合理化合理化を進めてきた結末の社会に生きています。
どうですか?皆さん、幸せですか?
結構、幸せという方もいるでしょう。
また、不幸せという方もいるでしょう。
どちらか、わからないという方もいるでしょう。
そんな皆さん、最近、心から笑ったことがありますか?
何の不安もなく、何の気兼ねもなく、明日の心配もせず、心から笑ったことがありますか?
私は、ありません。
仕事をしていても、街をあるいても、テレビを見ても、そんな事はありません。
何かが引っ掛かっているんです。
その引っ掛かりが、ハービー山口さんの、例の言葉でわかったような気がします。
合理化すぎて、こころが窮屈なんです。
気持ちがパンパンなんです。
もっと自由に、もっと心が軽く、毎日を過ごしたいんです。
でも、今の社会はそれを許してくれないんです。
スケジュールが、規則が、法令が、何某が、私の行動を縛るのです。
良心だけで生きることを許してくれないんです。
皆さん、そう思いませんか。
社会は、もっと非合理で良いんだと、今日思いました。
合理的すぎるんです、便利すぎるんです、それを保つためのルールが沢山ありすぎなのです。
だから気持ちが窮屈なんです。
もっと、もっと、非合理にしたほうが、きっと今の日本、うつが多い日本には良いと思うんです。
そう、思えました。気付きました。ハービー山口氏のおかげで。