Occupy Tokyoというデモがあった。
もともと、ウォールストリートで始まったネット呼びかけ型のデモが、ネットを通じて世界中に飛び火し、日本までやってきた結果、15日に実施されたデモである。デモの統一的な主張はない。ただ、Occupy Tokyo(東京を占拠せよ)だけがスローガン兼デモ名。規模は数百人程度なので、大規模ではないが、ネット呼びかけ型というジャスミン革命を思わせる、このデモの歴史的な意味はなにか。自分の思考の整理として、ここに書いていくことにする。
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ジャスミン革命以降、世界中でこの手の「動き」が乱発している。スマートフォンの普及とともに、PCを介する少し前のネット社会とは違い、常時身近なものとなった今のネット社会は、古典的な制度としての「Face to Face」が基本の現実社会とは別の、古典的社会制度の延長上に開かれることで誕生した言葉だけでつながるネット社会が、もう一つの現実社会へと完全に変貌してしまった、と小生は感じている。つまり、私たちは、現実に、2つの社会制度の中で暮らしている、そう考えるべきだと、小生は考える。
今回の世界的なデモの発生は、ジャスミン革命と同じく、歴史的に大きな意味を持つ。それは、ネット社会というアナザーワールドが、現実の社会に対し実際の影響を及ぼした意味、つまり、私たちはこれまで当然のように「Face to Face」が基本の社会だけに属してさえいれば、社会が生み出す価値の利益を享受できていたのが、今後は、その社会に大きな影響をもつ別社会であるネット社会にも属せねば、社会的価値の分配にありつけない可能性が発生したという事実である。
今更なにを、という人もいるだろうが、これまでのネット社会の現実社会への影響は、「干渉」程度だった。社会運動等の一部のツールに使われたり(フジテレビ前デモなど)、犯罪に利用されてしまったりと、個人や一地域(国という地域)での限定的な影響はあったろうが、地球規模ではなかった。これまでの歴史では、地球規模で人々を動かす原動力となったのはマスメディアであったが、ネット社会は、マスメディアよりもより身近に人々に寄り添ってしまい、今やその役割を奪ったのではないかと考えている。たとえば今、何かの事件が、ある地域で起こるとしよう。そのニュースは、一昔前ならマスメディアが報道するまで人々は知る由もなかったが、今は、手元のスマホから得られるネットでの話題の共有化が先行し、人々の行動へ結びついている。ジャスミン革命の際、マスメディアはツイッターでの言動を頼りに報道せざるを得なかったが、報道の時点でその情報は、すでに世界中で「共有」されていた。マスメディアとネットが決定的に違うのは、マスメディアは情報を「発信」するが、ネットは「共有」する。ここが決定的に違い、伝わる内容も、感情も、スピードも、ネット社会がマスメディアに対して優勢となった。結果、マスメディアが主軸をおく現実社会に対して、アナザーワールドであるネット社会は、スマホを得た今、大きな影響力を常時持っているのである。
今日のデモの実施は、これらの考えに対する証明の一つとなり、ジャスミン革命と同じく、歴史的に大きな意味を持ったと思う。
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今回のデモ、元々は、アメリカの経済・雇用状況の悪化への不満が、一部の富裕層に向かったのがきっかけだったのだが、このタイミングで、興味ある記事が毎日新聞にでた。
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毎日新聞10月15日朝刊
大正100年、歴史に探る日本の針路
第10回 ロシア革命 マルクスの「予言」実現に衝撃
内容は、図書館に所蔵されているはずのアーカイブ新聞を読んでいただけるとよいが、マルクスという人は、天才経済学者であり、かなりのヒューマニズム人だったようで、つまりは、当時、行きすぎていた資本主義に対する警告、「いつかは行き詰まるよ」的な話と、「行き詰まった後は、イギリスあたりで社会革命がおきるよ」という予言的な内容を含んだ「資本論」が、大正時代の当時、青年たちにとって、かっこいいファッションみたいなものだったという内容だ。
小生は、ここで、あれ?っと思った。この予言、今の時代に当てはめると、マルクスの思っていた通りに動いているんじゃないの?と。
ちなみに「資本論」なんて、全部読んだことないので、これ以上マルクスのことは語らないけど、資本主義が進めば、資本主義の要である、自由や私有財産の尊重が行きすぎ、一部の人間による利益の独占や搾取が横行し、資産階級間での軋轢や対立がおきる。結局は、行きすぎた資本主義は行き詰まり、逆の方向の社会への扉があく・・・的な考えだったと思う(間違っていないと思うけど)。
今、欧州債務危機を発端に、世界のあちこちで不平不満が起こっている。階級間の軋轢もある。どうも、マルクスの言う資本主義の限界を、今、目の当たりにしているように思う。
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こういった状況下で、現実社会で人々はどう行動するだろうか。同じ「感情」を持った人たちは繋がりやすく群れやすく、一つの目的を持ったならば、それに向かって行動しやすいものだ。
かつてなら、マスメディア又は口コミで、時間をかけて情報が広がり人々が群れて行動をしていた。なので、ある程度大きなアクションであっても、行動が現実化していく過程の途中で、それらのパワーの分散化(たとえば警察による行動の抑制などによる分散)や内部分裂、諸派への分岐で、社会を動かすような革命的なアクションは、そう簡単に現実化しなかった。
しかし、スマホを得たネット社会では、「感情の籠った」情報の「共有化」は異常に早いスピードで広がり、国家権力による規制や内部分裂によるパワーの分散が起こる前に、安易に行動へと移されるだろう。しかも世界同時に。
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亡くなったジョブズの大きな置き土産は、どうも世界中の社会を変えてしまう可能性があるようだ。
マルクスが予言する「社会の変革」は、実はロシア革命ではなく、今の時代なんじゃないのかと勘繰ってしまう。
こうした時代に、一個人として、どう社会とつきあえばいいのか、頭を冷やしながら考えて行動に移していきたい。
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