ともほ じゃーなる

まいにち の ものがたり

梅か桜か

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皆さんは、花見と言えば桜ですか?梅ですか?

古典文学を紐解くと、和歌で詠まれる春の花といえば圧倒的に梅が多い。

桜が本格的に文学で取り上げられてくるのは、江戸以降。

前回のブログでも書いたが、桜が文学的にとりあげられるアイテムになったのは、ソメイヨシノが出てきた江戸時代以降のようだ。しかも、明治から昭和にかけてのキナ臭い時代においては、同期の桜だの、美しく散るだの、そんな使われ方で桜が春の象徴のように使われた。

現在の我々は、総じていうと、桜に春を感じる。

何故だろう。

単純に考えると、梅のある場所が桜に比べて圧倒的に少ないのだ。

京都には桜も梅も両方あるが、実は寺社仏閣の花の名所ということになると、梅の名所が多い。北野天満宮などは、その象徴。

兵庫の神戸では、梅の名所といえば岡本という場所。ここの梅は有名。吉野の桜、岡本の梅と言われているぐらいである。

梅と桜では、人々はどのような印象の違いを持っているのだろうか。

梅が咲くころ、人々はとっても寒い季節を乗り越えた「喜び」を感じる。

梅は春の訪れを告げる花であり、メジロをはじめ、冬ごもりを終えた野鳥たちがやってくる場所でもある。我々はそれを歓迎して喜ぶのである。

では、桜はどうか。

イメージとしては、桜は卒業とか別れ、人生の節目。卒業式の桜。親元を離れて初めて下宿した先に咲く桜。病室から見える桜。

これまでの過去を断ち切り、新しい一歩を踏み出す状態。不安だし、勇気もいるし、なにせ寂しい。なんとも切ない気持ちを思い起こさせるのが桜なのだと思う。

もちろん、別れの次には出会いもあるわけで、新たな旅立ちに花を添えるのも桜。今の日本人が桜が好きなのは、今の時代の節目(入社とか卒業とか退職とか)に一番目につく花だからなのかもしれない。

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今年は2月末まで寒かったので、梅はまだ咲いている。

今週から急激に暖かくなったので、来週は桜の開花が予想されている。

今年は、梅と桜の競演が楽しめそうだ。

お題「お花見」