○叔父さんの葬式の事
今日、叔父さんの葬式があった
91歳の大往生
ご苦労様でしたと思う
葬式には様々な人がやってきた
血筋が遠い親戚をはじめ、初めて見る顔の人もいる
葬儀が始まると、皆、神妙にしてお参り状態になった
時間がたち、ほぼ古文書に近い日本語で構成されるお経を聞くと、眠くなるか気が散るかするのが、人間
隣の人はウツラウツラ、後ろの人は葬式様式のウンチクを話し出す
その時、一緒に参列していた母親が話し出した
「あの叔父さんの写真、もう一つやな(あまり良くないね)」
はぁ?なんだそれ、と思っていたら
「あんた、今度写真撮って」
自分の葬式の時の写真を気にしているらしい
しかし、女性というのは、死んでまでも自分の見られる姿が気になるらしい
人の葬儀で、自分の葬儀の写真の写り具合を心配をする
しかし、そういう話題が自然にでてくる、それだけ歳をとったという事か
母親も吾輩も
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叔父さんの葬儀は、曹洞宗様式
翻ると、我が家系の本筋は皆、曹洞宗
曹洞宗の葬式は、同居していた祖父の葬式以来、初めてである
住職が鈴を鳴らし、読経がはじまる
「人間100年生きようと、いつか終いえる理にある」
太く通る声で、着実に言葉が発せられる
まるで浪曲のようだ
その後も、来場者に対して、いくら栄華を誇っても終わりある人生、有意義に生きよう的な説教っぽいお経が続いた
こんな葬式は始めてであった
和尚は、檀家の総代だった故人と、寺の運営などでよく言い合いしていたらしい
今は息子に寺をゆずり隠居している和尚、今日は、故人への最後の手向けだったのか、老齢をおして葬儀にきてくださった
とにかく力が入っているお経だった
小さい頃、盆になると家にきて、ウニャウニャ読んでいたお経のレベルではなかった
まるで、賛美歌
すばらしい読経であった
本来、お経とは、こういうものなのだろう
ありがたいと、心から思った
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○現代ならでは
焼香がはじまった
喪主から親類、一般参列者へと焼香の順番が回っていった
焼香の最後の人は、若い女性だった
焼香を始めようとした、その瞬間
遺影をみた若い女性は、口をヘの字にして焼香をやめた
そして振り返ると、礼もせずに会場を後にした
いったい何なんだ?
皆がそう思って、彼女が移動した軌跡を目で追った
軌跡の先は、となりの葬儀会場
この葬儀場、1フロアーに2つの葬儀場がある
昔のように、自宅や公民館、檀家となっている寺で葬儀をしていた時には考えられない出来事だ
現代ならではのハプニング
ああ、ドリフのコントでは見たことあったかな?
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