毎週木曜日、テレビ東京で放送されている「カンブリア宮殿」。
以前から視聴していて、時代の異端児、トップランナー、仕掛け人等と村上龍との掛け合いが面白い内容でありつつ、ビジネスだけでなく人生観にも良い影響を与える話を聞くこともできる有意義な番組「カンブリア宮殿」。
しかし哀しいかな、よい番組をみた直後は覚えている様々なヒントも、一晩ねると忘れてしまう・・・私がアラフォーだからというのも原因でしょうが、人間は良くも悪くも忘れるという能力を持っている為だからでしょう。
でも、人間には記憶のほかに「記録」する能力を持っている。これを活用しない手はない!
と言うわけで、「カンブリアのプレシャス」というカテゴリーを新しく作ってしまいました。
カテゴリー名は、カンブリア宮殿から見付け出した宝物という意味です。
番組を見た後に記録していくので、番組放送後、数日から数週間後にアップデートすることにします。
では、さっそく。
なぜ、270円なのか
村上龍から平林に投げかけられた問に対する答えは「勘」。
しかし、それは当てずっぽうという意味ではない。平林はマーケティングの基礎中の基礎、商売を仕掛けるエリアを、とにかく虱潰しに「歩く」のである。「歩け」ば、エリアの情報を隈なく得ることができると同時に、街に漂うあらゆる情報が「歩く者」の5感とシンクロし、最終的に「第6感」としてアウトプットされる。そして出た答えが、270円。
平林はいう。「だいたいこれ(270円)が、いい線じゃないかと思う」
とにかく「歩く」
巷でやるようなマーケティングリサーチは行わない。ただ歩く。歩いてこの街にはどんな人がいるのか、どんなニーズを持っているのか、そのニーズを満たすためにライバルはどう動いているのか。それを社長自らが「感じる」のである。
マーケティング理論は大切。しかし机上ではなく現場で理論を実践することが大切だ。論語読みの論語知らずという言葉がある。この場合の論語知らずとは、頭に入っていないとか理解していないという意味だけではない。孔子はいう。道は一つだと。その道とは「忠恕」の「実践」。社長室に籠っていては、何もしていないのと同じだという訳だ。
すべてはお客様の満足のために
会社本社は、マンションのB1、B2。会議室は地下駐車場。きっと経営コンサルタントや労務管理士が見たら、社員のモチベーションに関わると警告するに違いない。
しかし社員は、みるからにモチベーションが高い。皆が、安くてお客様が喜ぶための努力と工夫を重ねている。
「お店はお客様が入るところだからよくしないといけない。しかし、本社は仕事ができたらいい。しかも家賃が一般価格の1/8なら言う事なし」と平林。
社長が揺るぎない信念をもち、それを社員に示す。信念と熱意に触れた社員は、そのスピリットを当然受け入れ、社長についていく。
「すべてはお客様の満足のために」
世間からケチだと言われる、そんなのはどうでもいいこと
徹底して効率化をすすめる平林。店頭スタッフのユニフォームは買い取らせる。店頭で出されるメニューは銭単位で計算され、店員数を最小に抑えるため、各テーブルにはタッチパネル注文機を設置。やきとりはロボットが焼、ビールも自動でグラスに入る。徹底的だ。
「世間からはケチと言われる」と平林。しかし「どうでもいい」と意に介さない。
平林はケチなのではない。お客様のニーズにあわせ、かつ社員を食わしていく為の手立てを徹底的にやっているだけだ。
しかも、世間の低価格ニーズは底が見えたと感づいたのか、今度の事業は、脱270円均一に展開していくようだ。
もともと、時間の少ないサラリーマンの昼食を、安く早く美味しく提供していた平林。彼の目線は、常にサラリーマン、名もなき企業戦士たちのサティスファクションに注がれているのだろう。
慢心とは無縁
村上龍はいう。
「平林は、慢心とは無縁の経営哲学を持っている人だ」
慢心・・・うぬぼれ、不遜
彼は新しい事業展開を考え実行し始めた。新宿では独り勝ちともいえる勢力を持ちながら、足をとめることはない。
今でもひたすら「歩き」、自らの店に客として入店して「客の目線で出された商品のクォリティをチェック」する。
一見、社員を信用していない「うるさ型社長」のように見えるが、お客様商売は、常に客と共に心がなければならない。現場主義とは、現場を観察して監視するのではなく、店員とともに汗をかき客目線にたった商売をすることなのだ。
今回、カンブリアから見つけたプレシャス
○世間がなんといっても、それはどうでもいいこと
確信をもって仕事を進めていても、外野のヤジに右往左往するのが人間。人間はもともと一人きりで生きていけない生物だから、他人と同調する能力を持っている。だから外野のヤジは心を大きく傷つける。
しかし強い人は、それを意に介さない。揺るぎない確信をもつと同時に、確信を壊さないための努力を怠ってないからだろう。
平林社長を見ていると、マリナーズのイチローを思い浮かべてしまった。確信だけでは人は強くなれないのだろう。確信を壊さないための努力を怠らないことが必然なのだと思う。
○勘
世の中、理論、理論、根拠、根拠とうるさい。論語読みの論語知らず。まさしく、左記に当てはまる人が言い出しそうな言葉である。こんなことにこだわっているのは日本人だけかもしれない。
平林は体で理論を覚え、歩いて根拠を得ている。そして、それらを総合しこれまでの経験も加え、第六感として次代ビジネスのビジョンを生み出していると思えた。
まずは、現場でやってみる。それが大切だし、経験を積んだ者だけだろうが、勘は理論を超えるに違いない。