電車での通勤。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。
スマートホンやウォークマンを使ったり、本や新聞を読んだり。その過ごし方は様々です。
私は、LISMOで音楽を聴きながら通勤しているクチです。
お気に入りの音楽は、中孝介。夕暮れ時に彼の声は、疲れた体に沁みります。
記録している音楽ですが、当然、沢山のアーティストをチョイスしていて、再生はランダムモードにしています。
この「ランダム」が、悲劇の始まりでした。
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ある日、私は4人がけのシートに座り、リスモっていました。
横には学生さん、前にはアベックが座っていました。アベックは、楽しそうというより深刻な感じに思えました。
アベックの話し声はイヤホンからの音楽で聞こえないのですが、女性の顔からして、喧嘩しているようでした。
しばらくすると、女性がハンカチを目頭に当て始め、なんとも言えない状況に。
その時です。イヤホンから流れてきた曲に私は焦りました。
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♬「ストーリーランドのコーナーで〜す」
なんとも軽々しい軽率な声の主は、嘉門達夫。そう、彼のCDデータも自宅のPCに入っていたため、LISMOと同期していたのでした。
♬「お前、一郎と次郎と三郎の話知っているか?」
実は、このストーリーランド。この時始めて聴く内容でした。
"やばいな。アホみたいな内容を聞いて、この場で吹き出すようなことになったら、前のアベックから喧嘩売られるかもしれんなぁ"
そう思いつつ、ストーリーランドへの興味の熱は冷めるどころか、ますますヒートアップ。そう、してはいけないときに、人間ってやりたくなってしまうんですよね。
♬「昔々、あるところに、一郎と次郎と三郎がおった。3人は山で遭難して迷っているときに山賊に捕らえられてしまった。"おまえら、命がほしかったら、食べ物をもってこい”といわれた3人は、暗闇の中、山へ食べ物を探しに行った。」
ふんふん・・・と話に聞き入ってしまう私の心の片隅から「やばいで、ポーズボタンかスキップボタン押せ。でないと、吹き出すことになるで」と天使の声が聞こえてきました。しかし、人間の心には天使だけでなく悪魔も住んでいるのです。悪魔くんはこう私に語りかけました。「大丈夫やって。聴け聴け。吹き出しそうになったら、泣いたふりして両手で顔を隠したらいいんや」
ナルホド!と思ってしまった私は、食い入るように嘉門達夫の小話に耳を傾けたのでした。
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♬「そのうち、一郎がサクランボをもって帰ってきました。山賊は、"それをケツの穴にいれろ。でないと殺す”といったので、一郎はケツの穴にサクランボを入れました。次に次郎が帰ってきました。次郎はりんごを持っていました。」
!!?りんごを持ってきたって?ケツの穴に入らへんやろう!、と独り言を心のなかでいった私は、さらに話に食い入りました。
♬「山賊は、次郎にもケツの穴に入れるように言った。次郎は頑張ってりんごをケツの穴に半分いれたところで、突然ブーっと(笑って)吹出し、その勢いでりんごがスポッとケツから飛び出してしまいました。怒った山賊は、次郎をバサっと斬り殺してしまいました。次郎は天国にいき、そこで神様から質問されました。"りんごが半分まで入った時、なんで吹き出してしまったんや”。」
そうだよな。なんでなんだよ、とオチが近付いていることを当然に気づきながら、一層力をこめて私は聞き入りました。
♬「いやーね。窓から外をみたら、三郎がスイカ持って帰ってきたんで・・・」
私は思わず、ブーつと吹き出してしまいました。
そして正面を見ると、涙で顔をぐちゃぐちゃにした彼女と鬼瓦のような顔をした彼氏が、二人揃って私を睨んでいました。
いやー、君たちのことで笑ったんじゃないんだけどね・・・・タイミング悪いな〜。
ランダム再生にご用心!