ともほ じゃーなる

まいにち の ものがたり

ショートストーリー

○出張中のお弁当の事
 寒い中、出張に行くことになった
 それもお昼前
 鞄にはお弁当が入っている
 「さあ、どこでお弁当を食べよう」と考えたあげく、訪問先の道中にあるガラス張りの建物を思い出した
 ここは、フェリー乗り場の待合室
 建物の中は暖かい
 もちろん冷たい風とは無縁
 それどころか、ガラス張りなので、太陽の光がサンサンと照る温室のような状態である
 待合室のシートも座り心地がよい
 しかも、お弁当付きである
 携帯電話でワンセグTVをみながら、弁当を食べる
 ここは、寒空の中に見つけた至高のオアシスである
 目の前では船が行き来しているし、なんてすてきな空間なんだろう・・・
 こんなすてきな場所を、皆知らないのだろうかと周りを見回した
 弁当持ちのおっさんで一杯だった
 ああ、考えることは、皆、同じか・・・・妙に納得

950ピース 神戸港の夜景 9-03

950ピース 神戸港の夜景 9-03

○再び吉牛の事
 出張の帰り、小腹が減ったので何か食べようt、フードコートのあるショッピングセンターに行った
 そして、やつを見つけてしまった
 そう、吉野家
 吾輩にとって、宿敵の存在、吉牛
 さあて、再度、豚丼を頼んでみようかと考えた
 しかし、2度も裏切られた吉牛
 2度あることは3度ある、である
 しかし、一方で、3度目の正直という言葉もある
 どうしたものか、考え続けた
 そのうち、気がついた
 満席になっていた
 やはり、縁がないんだと入るのを諦めた
 やっぱり、吉牛は吾輩の鬼門である
 間違いない

○写真展の事
 出張から職場に帰る途中、個人サークルの写真展をやっている貸し出しギャラリーに出会った
 写真が趣味の吾輩、入りたい衝動に駆られた
 入った
 写真がたくさんあった
 会場には沢山の人がいた
 皆、高齢者だった
 写真愛好家、こんなに高齢者が多いとは知らなかった
 吾輩がカメラを始めた頃、カメラ小僧と揶揄されるアイドル撮影専門のガキどもが、世間から白い目でみられていたが、今は、そんな奴を見かけなくなった
 鉄っちゃん、最近は鉄子といわれる若い女性の鉄道写真マニアがいるが、その分野でもやはり高齢者の人口密度が高い
 そうか、写真は、ゲートボールと同じ部類の趣味になったわけだ
 そう感じた
 高齢社会の到来を、心底感じた
 なんだか、寂しいねぇ〜