2015年は、何かと日本酒を飲む機会に恵まれました。
最近、世界的に日本酒はブームのようで、フランスではワインと同じように料理に合わせて出されることもあるようです。
そんなブームに乗っかった訳ではないのですが、今年は色んな銘柄の日本酒に出会いました。
今日は、2015年、私の日本酒放浪紀・総括!ってことで、印象に残ったお酒を書いていきたいと思います。
播州一献(ばんしゅういっこん)
夏も冬も酒が熟成するのに適した温度が保たれている鉱山跡を酒蔵にして造られている日本酒です。このお酒の特徴は、なんといってもマッタリさ。じっくり熟成させたからなんでしょうか、濃紺な飲みごたえがあるんですが、一方で、嫌みな後味が口に残らない。気が付くと、720mlは空っぽになっていました。
天狗松(てんぐまつ)
今、美味しいと言われる日本酒の多くが「山田錦」を使用する中、野条穂(のじょうほ)という酒米を使っています。系統的には、山田錦の起源とされる雄町という酒米の子供になります。山田錦は孫にあたるようですので、山田錦の叔父にあたる酒米です。
この野条穂で作った酒は、味・香りともに芳醇で、酒が好きな人は大概好きな味に仕上がるのでは?と杜氏でもないのに偉そうに書いてしまいました。
箕輪門(みのわもん)
これは、職場の偉いさんからいただきました(現在断酒中らしく、処分に困ったらしい)。一言、優秀なお酒です。誰でも旨いと感じると思います。
値段もそこそこするので自分で買うのは躊躇しちゃいますが、貰ったら嬉しいお酒ですね。
神聖(しんせい)
伏見の焼き鳥屋から火が付いた、これまた有名なお酒。私が知る限り、期間限定で販売される「たれ口」という、しぼりたてのお酒(微炭酸で旨い)は、まったく入手できない状態のようです。私は先日、職場の方から譲っていただきましたが、たしかに旨い。そして安い。入手困難なのが、難点です。
香住鶴(かすみづる)
全国的には知られているんでしょうか?香住鶴は、兵庫県の北、美方郡香美町の香住鶴株式会社が造る日本酒です。創業は享保十年(1725年)といいますので、290年間、この地で酒を造り続けてきたということになります。
香住鶴の特徴は、いわゆる女酒(甘くて芳醇な香りが特徴のやさしいお酒)です。石川や富山の酒もそうですが、冬に刺身とともに女酒を飲むのは、最高です。
香住鶴は、甘いと言っても後味すっきりですし、香りが上品ですし、とにかくずーっと長く普段の晩酌にピッタリのお酒です。私が大好きな日本酒の一つです。
奥播磨(おくはりま)
東京でブレークした日本酒です。これも兵庫県のお酒です。山田錦のふるさとならでは!と言いたいのですが、このお酒は、夢錦という酒米を使っています。創業は明治、一度経営難におちいりましたが、先代の下村社長(現在は息子さんが社長)が、ミュージックセキュリティーズ社のクラウドファンドを活用して資金を集めて頑張り、その成果がファンド投資家の大部分が住む東京で口コミで広がりブームになりました。
このお酒は、とにかく愚直なまで正直な酒造りをしているためか、派手な香りや味はありませんが、とにかく夕食とともに飲むお酒(食中酒)として最高です。料理の邪魔はしないけど、料理の味を引き立てるようにお酒が香り、味が口に広がるって感じです。
このお酒は、とにかく時間をかけてつくっているのと、自然・気候に逆らわずに造っているため(大手のように温度調整する工場で作らない)、奥播磨を取り扱う料理屋の大将によっては、毎年の酒の味に差がある(安定していない)と辛口コメントを聞くこともあります。
逆に言うと、本当に手作りなんですね。工業製品じゃない。暖冬の時には暖冬の酒の味、山が荒れて水が悪けりゃ、酒もそれなりに影響を受ける。逆に、雨もそこそこ降り、夏は暑く、冬は厳しく冷える年は、最高の酒ができる。
コンビニでいつも安定して均一な商品が買えることが普通になっている人には、偶然性とか不均一のすばらしさ・心地よさが、分かり辛いのかもしれません。
ちなみに下村酒店には、東京からIターンで就職している若者がいるようです。奥播磨の魅力に惹かれたんでしょうね。
ああ、長い文章になってしまいました。
まだまだ書ききれないので、総括は次回に続きます。
今日は、これまで!