ともほ じゃーなる

まいにち の ものがたり

ねやちかき 梅のにほひに朝な朝な あやしく恋のまさる頃かな 能因法師(後拾遺)

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朝から天気が良かったので、近所の梅園へ撮影に行った。

近所の梅園は、うめを採るために梅の木を植栽しているので、観賞用の梅ほど綺麗な花は少ないが、香りはかなり強い。香りを楽しむならこの梅園が最高だが、撮影となると、なかなか美人に出会えないのだ。しかし個人的には作られた綺麗な美人より、街中のマブイ美人の方が撮影するなら出会いたい被写体なので、この場所は私にとっては最高の梅に出会える可能性がある。

朝一番に出かけたが、すでに数十台の車が駐車場に止まっていて、多くのカメラマンが機材をもって梅園のある山へ向かっていく。

梅園は時間が経つとともに観梅の人が増えてくる。その多くはご年配の夫婦。夫婦らしくないカップルも何組か(笑)。恋は死ぬまで枯れないものなのかもしれない。

梅をテーマに詠まれた詩は沢山ある。短歌も俳句も。

目に留まるのは、なぜか愛別の詩が多い。梅と桜では、私たちが感じる何かが違うのかもしれない。 

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 梅が咲く頃といえば、春の足音が聞こえてくる季節。人というのは、もうすぐ春だなと思うと同時に昔の苦い記憶を思い出すのかもしれない。

というものの、小生の梅にまつわる記憶。ないな・・・本当にない。

桜にまつわる思い出はあるんだけど、梅ってない。

梅若菜鞠子の宿のとろろ汁 (芭蕉) 

 俳句の世界を見ると、春が来たことにまつわる詩が多いように思う。

和歌の世界は、愛別とか亡くなった方への想いを詠んだものが多い。

小生思うに、これはきっと、江戸時代にソメイヨシノが作られて全国に広がったため、春の風物詩が梅から桜に変わったためじゃないかと思っている。

白梅のあと紅梅の深空あり(飯田龍太) 

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今年は、梅の開花が遅かったので、もう少し梅を楽しめそうだ。

小生もそろそろ50歳が見えてきた。これからは少し梅を愛でてみようと思う。