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冷静に「完成車点検の不正」を考える

日産自動車とスバルが完成車の検査を無資格者に行わせたというニュースが流れています。マスメディアは「人の命を脅かす」と極端な表現を使いまくっているので、ここで一度、冷静にこの問題を考えてみたいと思います。

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 最初に国土交通省の記者発表をみてみましょう。

報道発表資料:日産自動車(株)の型式指定自動車の完成検査に係る不適切な取扱いについて - 国土交通省

  1.日産自動車(株)の型式指定自動車の生産工場に対する立入検査
○ 型式指定を受けた自動車については、国が行う新規検査に代えて、自動車製作者等が自ら一台毎に完成 検査を行うこととしています。このため、国土交通省は、自動車製作者等が適切に完成検査を実施しているこ とを確認する観点から、自動車製作者等の工場に対して立入検査を実施しています。
○ 国土交通省は、今般、日産自動車(株)の型式指定自動車を生産している工場に対し、次の通り、立入検査 を実施したところ、社内規程に基づき認定された者以外の者が完成検査の一部を実施していたことを確認し ました。
  9月18日及び22日   日産車体(株)湘南工場
  9月26日       日産自動車(株)追浜工場
  9月28日       日産車体九州(株)
  9月29日       日産自動車九州(株)
 
  2.日産自動車(株)からの報告
○ 上記立入検査を受け本日、日産自動車(株)より当省に対し、以下のとおり報告がありました。
・  同社の国内販売車両を生産している全ての工場(上記4工場に日産自動車(株)栃木工場及び日産車体(株) 京都工場を加えた全6工場)において、社内規程に基づき認定された者以外の者が完成検査の一部を実施していた。
・  社内規程に基づき認定された者以外の者が完成検査の一部を実施していた車両のうち、同社の販売会社在 庫車の登録手続きを一時停止し、販売店において再検査を実施する。
・  既に販売した車両については、その対応が決まり次第、対象の自動車使用者に連絡する。
・  不適切な完成検査の事案に関し、外部専門家も入れて、調査を行う。
 
  3.当省の対応
(1) 当省では、自動車の安全性の確保を最優先に進める観点から、上記立入検査の都度、日産自動車(株)に対し必要な指示をしていたところですが、本日の同社からの報告を受け、改めて同社に対し、以下の通り指示を行いました。
  [1] 完成検査の確実な実施を確保するよう業務体制を改善すること。
  [2] 既に販売・登録された自動車についての市場措置等の対応を、速やかに検討し報告すること。
  [3] 完成検査の不備に関係がある可能性のある事故等があれば、速やかに報告すること。
  [4] 不適切な完成検査の過去からの運用状況等、事実関係の詳細を調査し及び再発防止策を検討し、一ヶ月を目処に報告すること。併せて型式指定に関する業務全般の法令遵守状況等を点検すること。
(2) 他の型式指定自動車の自動車製作者等に対し、同種事案の有無について確認を求めることといたします。

 

以上が、国土交通省のホームページに掲載されている内容です。

おや、と思ったのは、「国が行う新規検査」という言葉と「社内規程に基づき認定された者」という言葉です。

「国が行う新規検査」とはなんのことでしょう。出来上がったばかりの車の新規検査って、聞いたことがありません。

国土交通省のホームページをサーフィンしていて、この図を発見しました。

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今回の不正といわれたのは、型式指定制度のパターンです。

車を大量に作るメーカーに完成検査を任せているわけです。完成したばかりの車の車検というわけですね。2年おきに実施される車検も、最近は資格のある民間車検場で検査され、陸運局には書類だけだすという形が多いと思います。

では、検査項目はどのようなものがあるのでしょう。

ちょっとシュールですが、日産の検査の様子が見られる動画をごらんください。

※4分ぐらいからが完成検査です。


【日産】クルマができるまで~最新の生産現場から~

こんなの言ったら悪いですが、あまり大した検査内容ではありません。エンジン部分はコンピューターで検査していますね。この制度は、道路運送車両法に盛り込まれているのですが、法律ができたのが昭和26年。民法の大改正の時にも話題になりましたが、物持ちのよい日本人らしく、変化を拒む「崇高」な法律の一つです。はたして、時代に合っているんでしょうか。必要なのでしょうか。

さて、その検査ができる社内規程に基づき認定された者とは、どんな人なのでしょうか。ネットで色々探ったのですが、詳しい情報が得られませんでした。車検の時の資格者は、たしか国の認定試験を受けて、国の指定工場にいて、陸運局が申請を受け取って認めた人であったはずなので、それなりの技術をもった人です。しかし、今回問題になったのは、社内規程に基づき認定された者となっています。社内規程って、なんなんでしょう。スバルの場合は研修中の人が検収したということで問題になっています。

結局、そもそも売り出す前の量産車を型番登録をする際、それは厳しい検査をうけた車なので、出荷前の検査を法律で縛る必要があるのかと個人的には思います。人の命云々とマスメディアは騒いでいますが、じゃー輸入車はそんなことしているのかってことです。そもそも、いい加減な車を売って事故を起こすと、この世の中、何が起こるか一番知っているのはメーカーです。こんな曖昧なルールを残したままグローバル化するから、世界中から輸入妨害規制だといわれるんです。若い人は知らないと思いますが、昔の日本車(国内販売されるもの)にはスピード警報装置(100キロ超えるとアラームが鳴る)が義務化されていて、それが外国車が輸入される時のネックになっていました。それが外圧で、輸入車だけ免除されました。ドアミラーだって、同じようなことがあった。フォグランプも同じ。本当に大切な規制なら、外圧に負けずに残せばいい。けど、規制を外してしまう。それは本当に必要ではないからだと思います。あったらいいよね、のレベルを残したがる、これが日本人の独特の感覚だと思います。

そして、もっと問題なのはマスメディア。断片的なニュースを流して、ちゃんと制度を説明してから、視聴者に何が問題であり、視聴者自ら考えてもらう材料だけを提供することをしない。アナウンサーの感覚(台本を書いている人やデスクの感覚)で、ニュースをまとめてしまう。「人の命を脅かす」という表現が適切かどうか、本当に考えてニュースにしているんだろうかと疑問におもってしまう。それこそ、「国民が惑うことのないニュース」を「お国のお墨付きガイドライン」を守って提供すべきでは?(嫌みで言っているので、言葉通り受け取らないでね。そんなこと、望んでいません。私は民主主義と自由を望んでいますので。)

とにかくモーターショー直前に、こんなニュースが流れるのは遺憾ですね。古い制度といっても、他のメーカーは守っているようなので、日産とスバルは反省すべきです。それは間違いない。ただ、これをもって、マスメディアが無差別攻撃するのは許せない。ちゃんと調べて、自分たちの感情をこめずに、冷静に報道してほしいものです。「人の命にかかわる」なんてセンセーショナルな言葉を安易に使わないでほしい。どう思っているか知らないけど、精神的に弱いひとだと、きっと車自体が怖くて乗れなくなる人も出てくるんじゃないのか、そういう事を考えて報道してほしい。私なら、今回のケースは「現在のルールを反故にし、国と国民からの信頼を損ねる行動であることを指摘し非難する」というのが、適切な表現ではないかと思うがどうだろう。

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