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カレーに納豆かけたら悪いか?

人生、仕事、感動した書籍について、写真とともにブログってます。

生活関連サービス企業のASEAN進出の環境調査(まとめ)~はじめに~

はじめに

(2012年12月時点の調査内容です)

 

 少子高齢化国内需要の減退、円高、電力供給不安、貿易自由化の遅れ、将来の大震災への不安など、国内企業を取り巻く経営環境は厳しい。少子高齢化、人口減少社会を迎えた日本では、国内市場の縮小への懸念が払拭されず、経済の力強い動きは見えない状態が続いている。経済再生を最優先課題とする安倍晋三首相は「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間の投資を引き出す成長戦略の3本の矢によって、経済を成長させていく」とし、今後の政府の動きには大いに期待したいところである。

  海外に活路を見出したい製造業、特に大手メーカーの海外進出は、その下請け先となる中堅・中小企業の海外移転をも促す結果をもたらしている。住民の身近にある工場の縮小・撤退は、その地域の雇用や所得の減少を引き起こし、その地域の生活関連サービスの売上げにも影響を及ぼす。地域経済の負の連鎖と言える。生活関連サービスは、製造業に比べて付加価値が小さく、労働者の所得も少ないことが多いが、地域の雇用を創出する重要なセグメントであり、その衰退は地域にとって影響が大きい。

 こうした中、生活関連サービス企業の海外志向が高まっている。ジェトロの企業アンケートでは、生活関連サービスを含む非製造業のうち、海外での事業規模拡大を考える企業が、全回答数の半分以上になっている。生活関連サービス企業は、消費が拡大するアジアの活力に魅力を感じている。

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(深夜0時 バンコク行きのタイ航空便を待つ客(関西国際空港))

 生活関連サービス企業の海外進出は、やはり製造業と同じく地域の雇用と所得を減少させるのだろうか。私の結論は、否である。現在の日本の景気低迷の原因の一つとされる少子高齢化は、国内市場の縮小につながると悲観する声が多い。しかしビジネス視点から考えると、少し違ってくる。少子高齢化は、世界に視点を移せば、日本のビジネスにとって有利条件である。中国、韓国をはじめ、今元気なアジア諸国もいずれ少子高齢化を迎える。日本は先行して少子高齢化を経験しているため、彼らの未来、行く末、これから起こる課題、その解決方法を自らの経験から知っている。そして、少子高齢社会の中で生じた課題・ニーズに対し、世界一うるさいと言われる日本のユーザーで鍛えられたビジネスモデルを持っている。この商品は、アジア諸国のユーザーにきっと喜ばれるだろう。これをビジネスモデル輸出し、そこで得た利益を世界に先行して少子高齢化が進む日本での商品開発、研究、市場テスト等のために投資し、完成した商品を再度世界にリリースしていく。このビジネス循環モデルが機能すれば、少子高齢社会は、日本の新産業創造とその育成、国内の雇用創出と市場活性化、そして同時にアジア諸国が抱える生活関連課題の解決につながる。

 つまり、日本は今、生活関連サービスにおいては、世界の中で最も有利な環境を手にしているのである。少子高齢社会だと悲観している場合ではない。視点を変えれば、道を切り開くことが出来るのである。

 今回は、そのような視点から、21世紀の世界の成長センターといわれる東南アジアを対象に、生活関連サービス市場の需要を取り込むための調査・研究を行った。

 そして、今回の調査・研究の結果を踏まえ、本報告書において、私から4つの取り組みについて提言させていただいている。4つのうち2つは、産官学に対して、残り2つは中小企業に対してである。調査期間が短かったことから、十分な内容に至っていない部分もあるが、この報告書が生活関連サービス企業の一助となり、新産業の創造と育成、曳いては地域経済の活性化と雇用の創出につながって欲しいと願っている。