カレーに納豆かけたら悪いか?

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オリンパスの訴訟記事をみて思う事

退職拒否→異動先上司は会社提訴した人 オリンパス社員(朝日新聞デジタル 2013/7/27)
20年前から、この手の記事はチョクチョク目にとまる。
会社は誰のものか、そういう古典的な問題も含んでいるが、もっと重要なのは、何よりも日本最大の資源である人材が、今だ消耗品として会社で扱われていることである。
企業も役所も大学も、基本的には未だに終身雇用の思考が残っている。最初から消耗品と考える某国の企業のようなところもあるが、そういう企業はブラック企業と世間から攻撃されているところだ。
人材は終身雇用する。途中で事情が変わったら、「本人の意向でやめる場合」は「例外的に引き留めはしない」というのが勧奨退職制度である。事実上のレイオフなのだが、労働基準法に従って大金を積んで世間から非難をあびてレイオフするより「組織へのダメージが少ない」勧奨退職を企業はとりたくなるのだと思う。
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今回のオリンパスの記事をみると、経営者側と労働者側、それぞれ課題を抱えていることがわかる。
経営者側は、色々ゴタゴタのあったオリンパスなので、財務改善と組織内の引き締めに取り組んでいきたいのだろう。事業部門を整理していくと人材があまる。しかしレイオフすると、一時的なコストがかかるのと世間からのバッシング、曳いては株価に影響を及ぼすので、なんとかソフトランディングするレイオフを考える。で、とったのが勧奨退職。
しかし、「今更転職できない」年代の人達は組織にしがみつくので、それならば何処でも転勤してもらうとなるわけだ。でも、こんな訴訟を起こされると、より悪いイメージが企業につく。実際、1ユーザーの私は、この内容をみてオリンパスのイメージがぐっと悪くなった。この転勤させられた人がどんな人か知らないが、あきらかに企業はこの人を企業資源からコストに見方を切り替えた。結果、この企業は資源を活かしきれない組織に変貌し、企業活動も停滞していくことになる。これが企業の抱える課題である。
では、労働者の課題とは何か。それは、自分という資源を活用してくれる場所へ移動、すなわち転職しないで企業に留まろうとする意識があることである。
「甘い甘い、だれが50代の人間を欲しがるのか?」そう思った人は多いだろう。
しかし、中小企業の経営者と話していると、結構、そういう人材も必要としている。大企業や中堅企業でのスキルは、従業員10〜20名ぐらいの企業では即戦力、10名以下なら宝として扱われるのだ。
経済シンポジウムや学会でよくこんな意見をいく。
「人が集まらないとなげく中小企業があまりにも多い」
「新卒だけでなく即戦力の人材を取りたがる中小企業が多い」
「大企業や役所は、優秀な人材を抱え込んでいるが、それらを解放しようとしないので、結局、中小企業で人材不足が起こっている」
しかし労働者にすると、転職は?というと、今の労働条件と比べると、納得などいかない。働きがいはあるが、不安定な会社に身をおき、かつ給料が下がる。そんなの無理だと言う人が多いだろう。こういう意識をみんなが有している。これが労働者側の課題である。
今、どの企業でもポスト不足が起こっている。同期は部長まで上がったのに、自分は部下もいない係長のまま。そういうストレスを抱えながら、納得のいかない配置転換にさらされ、精神的にまいってしまう。組織に評価されないとの鬱積から、場合によっては心的ストレスがたまって病院の世話にもなる。実際、ハートクリニックの患者数は右肩上がりのようだ。閑職におかれた状態で企業に飼われていても、人生楽しくないし、いつ捨てられるか・・そういう不安をかかえた毎日は辛いに違いない。
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この問題の根っこにあるのは、人材=コスト、転職=不安定という固定観念であろう。そういう視点を別次元に切り替えないといけないのではないか。
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昨年、民主党政権下で作られた「日本再生戦略」にサバティカル制度という言葉が載った。

サバティカル休暇[サバティカルキュウカ]
長期間勤務者に与えられる長期休暇のこと。通常の有給休暇や年次休暇とは異なり、使途に制限がなく、期間は少なくとも1ヵ月以上、長い場合は1年間の休暇となる場合もあります。(福利厚生.jp)

日本再生戦略 (~フロンティアを拓き、「共創の国へ」~)

日本再生戦略 (~フロンティアを拓き、「共創の国へ」~)

人生転職2〜3回社会を作ろうというものである。
日本最大の資源の人材流動性を高めることで、有能な人材を中小、零細にまで行きわたらせ、イノベーションの宝庫である中小企業を活性化させる、または大企業からのスピンアウトを増やして、ベンチャー企業を増やそうというものである。
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何が言いたいのかというと、会社も労働者も、「一つの組織に長くいることが良いという村意識を持っている」ことが問題なのだと。
日本の一番の資源は、勤勉でまじめで熱意の塊である人的資源である。どの人も、すごい能力をもって社会で活躍している。他国の経済、労働市場を見た人なら、絶対そのように思うはずである。他のアジア国と比べると、日本人の何と優秀でまじめなことか。
この資源を多く抱える大企業や役所が、その資源を中小・零細企業に解放するだけでかなりのインパクトがあると思う。中小企業は、大企業や役所が抱えるような人材を欲しがっているのだ。昨年度はサバティカル制度という言葉が政府のプランにかかれた。日本全体の人材流動性を高めるだけで、きっと産業全体に与えるインパクトは相当あるのではないか。
企業に席をおきつつ、他の企業で働いてみる、研究活動をしてみる、プチ起業をしてみる。そういうことが普通になる時代になり日本全体が人材流動性の高い社会になれば、大企業の中で起こっている今回のオリンパスのような訴訟もなくなる。訴訟をすれば、企業も労働者も負担が大きい。この訴訟をおこした人も、もっと人材流動性の高い世界で生きていれば、こんな負担の大きいアクションをとらなくても良かったはずだ。
また、企業を退職した人は、裏切り者のレッテルを張られやすいが、私がかつて働いた企業では、退職して起業した人に業務委託したりしていた。スピンアウトした人は、元所属企業にしたら、人と成りがわかっているので、ビジネスパートナーにしやすいのだ(まあ、無理もきくし・・・それが一番大きいかも。安い契約で結構働かされていました、その元社員の社長さん)。
新政権には、是非、人材流動性を高める政策を考えてほしい。もちろん、労働者にとってのセーフティネットをきっちり作っての話だが。
図解経済学者バトルロワイヤル

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