ともほ じゃーなる

まいにち の ものがたり

失言と報道

鉢呂大臣が、例の失言(というか、悪ふざけすぎ発言)で辞任願を出したようだ。
自民党政権時代から、毎回毎回、なぜ失言騒動が起きるのか。
現場には、必ず記者の影がまとわりつく。
特に、小泉劇場で政治がワイドショーになってから、その傾向が強いと思う。
それまでは、国会の場であったり、委員会の場であったり、審議会での発言や自民党内の勉強会など、どちらかというと、大勢のいる前での自らのポリシー表明によって、失言騒動を引き起こしていた。
 
【参考】戦後日本の閣僚の失言に関する年表

1953 吉田茂首相 衆議院予算委員会
   「バカヤロー」と怒鳴る。懲罰動議、内閣不信任案可決
1983 中曽根康弘首相 ワシントン・ポスト(スッパ抜き)
   「不沈空母」発言
1986 藤尾正行文部大臣 研修会
   「侵略を受けた側にも問題ある」発言
1986 中曽根康弘首相 研修会
   「アメリカには黒人などがいるから日本より知識水準が低い」発言
1988 浜田幸一衆院予算委員長 予算委員会
   「殺人者・宮本顕治君」と発言
1988 渡辺美智雄自民党政調会長 街頭演説
   人種差別発言(黒人)
1990 梶山静六法務大臣 記者会見
   「アメリカにクロが入ってシロが追い出される」と人種差別発言
1994 小沢一郎新生党代表 国会内で記者団に対して
   「どの女と一緒に寝ようがいいじゃないか」と発言
1994 永野茂門法務大臣 毎日新聞インタビュー
   「南京大虐殺はでっち上げ」発言
1994 橋本龍太郎通産大臣 特別委員会
   「(中国侵攻は)必ずしも侵略であったかどうか微妙」と発言
1995 渡辺美智雄 県連大会
   「日韓併合というのは円満に結ばれた条約」と発言
2000 越智通雄金融再生委員長 講演会
   「今,言ってくれれば,まだ私のところからお金が出せるんですよ」と発言

参考サイト http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/74007022/JIDC_07_01_02_kawano.pdf

ところが、小泉劇場以降、ちょっと様相が違うと思う。ぶら下がり取材の際の失言が多いのでは?
麻生総理のアルツハイマー発言や、今回の「感染しちゃうぞ」発言。以前の失言と比べて、場所も質も違う。
 
政治家がなぜ失言するのか。政治学者の櫻田淳教授は、自身のブログで、こう述べている。
 
*****
 
政治家は、何故、「失言」をするのか。
それは、日本が民主主義体制の国家であるからである。
おそらく、政治家が有権者に噛んで含めるように所信を説明しようとすればするほど、「失言」のリスクは高くなる。「噛んで含めるように所信を説明する」折には、有権者の理解を助けるために、何らかの「喩え話」を使うものであるけれども、その「喩え話」が下世話なものになることが往々にある。いわゆる「高尚な議論」は、そのままでは、有権者には受け容れられないことが多いのである。
「失言」が、多くの場合、議論の本筋ではない「喩え話」の文脈で出てくるのは、そのためである。
 
http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_af53.html
 
******
 
最近、ポピュリズムという言葉が、政治家から聞かれるようになった。野田総理も、発言していたと思う。
ポピュリズムとは、政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動(知恵蔵2011)とされている。
あまり良い例ではないが、「大衆は女である」と言ったアドルフ・ヒットラーの言葉は、まさしく、この意味だったのだろう。
 
小泉劇場以降、ポピュリズムの流れの中で当選してきた「先生方」は、口が軽いのかもしれない。思ったことを、反射的に口から出してしまうのだろう。ぶら下がり取材の記者には、格好の餌食だろう。
 
今回の失言も、どういった状況下、どういったやりとりの中で生まれた発言なのか、しっかり理解又は想像しないといけないだろう。でないと、鉢呂大臣が「伝染るんです。」と言った「刺激的な事実」だけで、彼のことを評価しなければならず、非常に危険だ。私たちは、けっして筆を独占する組織に考え方を誘導されてはいけない。なぜなら、それこそが、ポピュリズムが暴走する中心的な仕掛けであるからである。
私たちは、こういった背景に注意を払いながら、新聞記事を読まないといけない。
 
ちなみに、「失言」をググったら、次のような結果になった。
 
劇団ひとりの失言 - YouTube
ザ・失言
失言とは - はてなキーワード
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口は災いの元だけど、口の災を流布する人達には、もっと気を付けないといけない。
「◯◯さんは、☓☓だから、気をつけて」なんて、囁いてくる人に、アナタは信頼が置けますか?
そういう人は、きっとアナタのことを、アナタを知る人に「◯◯さんは・・・」をやっているだろう。
タタルケビッチ(ポーランドの哲学者)が、このような意味の発言をしている。「ある種の人は、誰かの失敗で自分の劣等感を癒す」。こういう人は、劣等感があるかぎり、誰かを自分以下に置いておきたいがため、攻撃しても反撃しなささそうな人をターゲットにする。
 
人のことを色々言う人には、十分に気をつけよう。