ともほ じゃーなる

まいにち の ものがたり

日経IRフェア2011

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819596E0E7E2E3838DE0E4E2EAE0E2E3E39790E0E2E2E2


藤巻健史

☆日本の国債発行の市中消化は限界
☆民間の金融機関が国債購入に使える資金(個人預金など)は、ほぼ使っている
☆このままいくと、国債の買い手がなくなり、国債の価値が下がり、国債を保有する金融機関の信認が低下、取り付け騒ぎにつながる
取り付け騒ぎを起こさないように、日本銀行国債の市中消化をあきらめ、直接引き受けすることになるだろう。
☆そう遠くない頃にインフレになる。個人は現金を預金してはダメ。インフレは貨幣価値を下げるから、銀行や手元に置いておいても価値がなくなる。
☆これから日本は一層厳しい局面に立つ。円、株同時暴落。ただ希望はある。円暴落後、韓国のように輸出産業が復活して経済が回復する道筋も考えられる。
☆?もうすぐ円安トレンドになる。誰もがその局面がいつなのかを見極めようとしている。

感想:円安になって韓国のように復活すればいいという論調は、あちこちのエコノミストがいっているが、私は常に疑問に思っている。バラッサ・サミュエリソン効果で現状を捉えたら、日本の円高は正当性が出てくるので、円安になって日本の輸出産業がより強く、より収益性が高まったら、反動ですぐに円高になる。韓国の場合は、ウォン安を契機に輸出が拡大し、あわせてITイノベーションで産業界の動きが拡大し景気が上向いた。しかし、日本とは経済規模が違いすぎる。単純比較は乱暴だ。おそらく、韓国は、現在の景気を起点にこれまでの日本の道をたどるのであって、私たち日本は、世界が経験していない暗黙の未来に飛び込む立場にある。だから、藤巻氏の主張は、簡単に鵜呑みにできない。
 ただ、すぐに円安に振れるというのは、多くのエコノミスト・学者が言っている。私もそう思う。それだけインフレ圧力のテンションがパンパンになっているのだろう。危ないな・・・この1年間で、日本人は、円高ではなく円安を恨むタームに入る可能性が高い。


堺屋太一

☆今は、第3の敗戦。
 第1の敗戦は明治維新、第2の敗戦はWW2、第3の敗戦は今。
☆日本は、90年代から低成長を続けている。
 http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html#index02 名目
 http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html#index01 実質
☆この間、世界の成長率は上昇し続けている
 http://ecodb.net/country/US/imf_gdp.html US
 http://ecodb.net/country/CN/imf_gdp.html CN
 http://ecodb.net/country/DE/imf_gdp.html GR
 日本だけが成長せず、デフレ経済を続けている。
財政再建は必要。しかし、財政再建を進めると、現在、金融機関が一番の貸出先になっている国家という借り手がいなくなってしまう。そうなると、資金はダブつき、インフレ基調が進み、マネー・デプレッション(貨幣不況)となる。第2次世界大戦後のイギリスが、まさにこの状態だった。
☆インフレが進むと、国の借金が圧縮される(借金の実質的価値の低下)。
 その分、物価上昇で国民が困る。(バランスシートでは、この結果、資産が国民から政府に移動)
☆ドルの価値が下がっている。基軸通貨としての役割は当面続くだろうが、米国による世界経済支配は当然弱まる。
☆今の財政状況等を踏まえ、今後の財政再建の手順を考えると、日本のインフレは避けられない。円安も起こるだろう。日本は、高齢社会、デフレ経済、エネルギー問題、構造改革、公務員改革、これらは避けられない課題。
☆年寄りはもっと働けば良い。月10万円を稼ぎ、年金と合わせた収入で暮らしていく形が理想。
☆若い人達は資産がない。年寄りには資産がある。これを自分の幸せのために使う。金儲けではなく、自分の幸せのために。キャピタルゲインを目的にした株投資ではなく、頑張る企業を応援するという気持ちで株投資する。それで損をしても、自分が応援している企業なら満足感もある。?日本はお金持ちでない国になっている。だから、お金がなくても幸せになれる方法を見つけていかないといけない。

感想:最後のほうは、各府県がやっている生涯学習講座のようなお話だった。堺屋氏も歳をとったな、という感想が一番大きかった。彼の主張は、これまでの主張と同じもの。目新しさはないが、フンフンと思えた。しかし、IRフェアだから仕方ないが、「あんたたちの資産を、日本企業に投資するんだよ」というメッセージが、アチラコチラに散りばめられていた。主催者の意図をくんだ講演内容、さすが作家である。

全体の感想:なんだか、お爺さんが沢山いた。それも、普通の。バブル時代に学生だった私にとって、IRフェアのような場は、結構ギラギラした男性が、あちこちで名刺を配る姿を目にする場と思っていが、現在は、完全に「◯◯自然食品、本日限りの説明会」の、あの雰囲気になっていた。あと、キャンギャル(死語ですが)をバシバシ写真とっていた変な兄ちゃんがいた。あーいうの、私の学生時代だったら、奥のブースから怖い兄さんが出てきてつまみ出されていたんですが・・・。時代は変わったもんです。なんだか、キリッと、緊張感がない。勢いがないんでしょうね、今の日本は。